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2026.05.14

新興産地「ノルチデミナス」や機能特化ビジネス。ブラジルで起きている新しい潮流 | TYPICA Direct Quote

ブラジルのコーヒー産地といえば、多くのバイヤーが真っ先に「セラード」や「スルデミナス(南ミナス)」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし近年、これらの名産地よりもさらに北に位置する「ノルチデミナス(Norte de Minas)」が、静かに、しかし確実に注目を集めはじめています。TYPICAのブラジルチームもこの動きに注目しており、ノルチデミナスの生産者コミュニティが主催するイベントにも参加を予定しています。

今回は、そのような新興産地や流通構造の新たな変化など、現地で見えてきたリアルな姿をお伝えします。

なぜ「ノルチデミナス」が今まで見過ごされていたのか

ノルチデミナスはセラードよりも北に位置し、気温が高く、標高もさほど高くないエリアです。スペシャルティコーヒーの文脈では「高標高=高品質」というイメージが根強いため、この生産地はこれまで業界から大きな注目を受けてこなかったというのが実情です。この地域には現在、農協も存在しておらず、インフラ面ではいまだ整備途上にあります。

ノルチデミナスで新規就農者が増えている背景

では、なぜ今この産地で生産者が増えているのでしょうか。その背景には、いくつかの要因が重なっています。

セラードからの移転:

2021年、セラードを中心とするブラジルのコーヒー産地を、歴史的な霜が直撃しました。作物が全滅した生産者の中には、新たな土地を求めて移住を決断した人たちもいます。ノルチデミナスはセラードに比較的近く、しかも土地価格が安い。この条件が、移転先として選ばれる大きな理由になっています。

コーヒー相場の上昇:

近年のアラビカコーヒー相場の上昇基調も、新規参入者を引き寄せる要因となっています。「コーヒーは儲かるビジネスだ」という認識が広まり、農業未経験の投資家も含めた新規就農者が増加しています。

この結果、インフラや農協が整っていないにもかかわらず、新規就農者は着実に増えています。倉庫会社などの関係者と話をすると、「インフラの整備が追いついていない」という声とともに、「だからこそ、特定の機能に特化したサービスに商機がある」という見方も聞かれます。

変わりつつある流通構造:農協離れと選択肢の多様化

ブラジルのコーヒー流通において、過去10〜20年で大きな構造変化が起きています。それが「農協離れ」です。

従来、農協は生産者にとって多機能なパートナーでした。肥料の供給、倉庫機能、クラシフィケーション(品質選別)、集荷まで、ワンストップで担ってくれる存在です。しかし近年、「倉庫機能だけ」に特化した外部サービスを利用する生産者が増えています。農協よりも、サービスのコストが割安に感じられる場合が多いためです。

より根本的な変化は、「自分で販売の主導権を握りたい」という意識の高まりにあります。農協では、有名な生産者であれば高値で買い取ってもらえる一方、知名度のない生産者は、同じ品質でも期待するほどの価格で販売できないこともありました。こうした状況に対し、農協を介さず別の輸出会社と直接取引することで、より高い価格を実現しようとする動きが広がっています。

こうした「機能の分離と再選択」の流れは、生産者にとって選択肢の拡大を意味します。同時にバイヤーにとっても、多様な窓口から産地と繋がれる時代になりつつあるということでもあります。

ノルチデミナスは、まだ荒削りな産地です。農協がなく、インフラも発展途上。だからこそ、早い段階から産地と直接関係を築くことができれば、将来的に大きな可能性を秘めたパートナーシップにもなり得ます。

TYPICAのブラジルチームは引き続き現地調査を行い、皆さまに最新の情報をお届けしてまいります。この産地に興味をお持ちのバイヤーの方は、ぜひダイレクトクオート™を通じて対話を始めてみてください。