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2026.03.06

確かなリズムを刻む。TYPICAのロジスティックチームが支える生豆の調達

ロースターにとって、注文したコーヒー生豆の到着を待つ時間は決して短いものではありません。コーヒーが生産地から手元に届くまでは、およそ半年にわたる長い旅路となります。輸送方法が海上輸送である以上、この月日は避けては通れないものです。将来、環境負荷を抑えながら空輸などで大量輸送できる時代が来ることを願いつつも、現時点では船が海を渡る航行そのものにかかる時間を短縮することは困難です。

だからこそ、TYPICAのロジスティックチームが最も心血を注いでいるのは、売買契約を結んでからコンテナ船が出港するまでの「陸上でのリードタイム」をいかに無駄なく、かつ丁寧に設計するかという点です。

私たちは、リードタイムの管理を単なる効率化だけでなく、「品質の保持」の一環として捉えています。精製を終えたばかりの生豆にとって、もっとも安定した環境は、温度変化の少ない船倉や適切に管理された倉庫です。逆に、産地の港や周辺の倉庫で必要以上に長く待機させることは、現地の厳しい湿熱にさらされるリスクを増やすことにも繋がります。一日でも早く適切な輸送環境に乗せる。このスムーズなバトンタッチこそが、生産者が情熱を注いだコーヒーのクオリティを損なうことなく、焙煎機まで届けるための大切なポイントだと考えています。

出港までの時間を短縮するために不可欠なのが、抜け漏れのない書類ワークです。TYPICAは世界に5つの拠点を構えていますが、輸出入のレギュレーションは国ごとに全く異なります。豊富な実務経験に基づき、輸出国側と輸入国側の双方で必要となる書類を綿密に確認し、先回りして揃えることで、手続きによる停滞を未然に防いています。

また、ロジスティックチームの仕事は事務手続きに留まりません。前年の輸送環境を詳細にフィードバックし、パッキングの仕様やパレットへの積み方にまでリクエストを出します。例えば、バキュームパックの外箱と中身の間にわずかな隙間があるだけで、数ヶ月に及ぶ航海の間、積み上げられた箱の重みですべてが潰れてしまうことがあります。そうした細かなリスクを回避するため、箱の仕様変更を生産者とともに進めるなど、地道な改善を繰り返しています。

TYPICA品質管理チームのハビエル・ヘルシ

コーヒーの旅路において、実務上の大きな節目となるのがPSS(船積み前サンプル)のプロセスです。サンプルが産地から届き、TYPICAのQC(品質管理)チームがフィジカルとセンサリーの両面から分析を行い、承認を出す。このステップが淀みなく進むかどうかが、その後のコンテナブッキングの成否を分けます。

もしPSSで欠点豆(ディフェクト)が検出されれば、原因を突き止め、ドライミルでの選別工程をやり直してもらうなどの対応が必要となり、どうしてもタイムラグが発生します。だからこそ、日頃から生産者との間で品質基準を合わせる「カリブレーション」を行い、信頼関係を築いておくことが、結果としてリードタイムの安定に繋がるのです。

PSSの承認が1日遅れただけで予定していたコンテナを逃し、到着が数週間遅れてしまうこともあります。ロジスティックチームとQCチームが密にスケジュールを共有し、連携を強化しているのは、この「わずかな遅れ」がもたらす影響を深く理解しているからです。

無事に出港し、目的地に届いた後もロジスティックチームの手は止まりません。港から倉庫、そしてロースターの元へ。通関、倉庫での入庫作業、システムへの在庫反映。これらの工程を一つの「リズム」としてタイムラグなく繋ぐことで、鮮度の高いコーヒーがロースターの元へ届きます。

海を越えて届くコーヒーの旅路を、より確かなものへ。国境を越えて機能する私たちの物流網が、世界中のロースターへ届くコーヒーのコンディションを、少しでも良い状態で支え続けることができれば幸いです。

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