エチオピア収穫アップデート 2025/26

今回のエチオピア、ケニアへの産地訪問を通じて感じたことがあります。国として急速に発展が進む一方で、コーヒー市場においては厳しい環境と、非常に優れた品質が共存している現状です。チェリー価格の急騰や、引き続き供給量が限られているといった問題を背景に、調達面ではこれまでにない課題が生まれています。
エチオピアの急速な発展
わずか1年前の前回訪問と比べても、エチオピアは目覚ましい発展を遂げています。アディスアベバの道路は夜間も明るく照らされ、街の至る所で建設ラッシュが起こり、ホテル周辺の道路も大規模な改修工事が行われていました。さらに、アフリカ最大規模となる空港の建設も進められており、世界各国からの観光客を迎えるための観光施策も加速しています。
この変化は、大きな期待と同時に懸念ももたらします。観光客の増加によって、植民地化を経験していないアフリカ唯一の国であるエチオピアの独自の文化に、より多くの人々が触れる機会が生まれます。一方で、急速な成長は、その独自性を薄めてしまうリスクもはらんでいます。
この状況は、現在のコーヒー市場の動きとも重なります。歴史的に見て、エチオピアのスペシャルティコーヒーは過小評価されてきましたが、現在の経済成長はより高い価格水準へ移行していくことを示唆しています。これは生産地にとっては好ましい変化である一方、買い手側は適応していくことが求められます。

マーケット概況
今年の収穫では、非常に厳しい状況に直面しました。政府が設定する最低価格が高水準からスタートし、昨年10月にはCマーケットも高値を記録しましたが、グジおよびシダマ地域における極端な供給量の少なさが、価格上昇圧力をさらに強めたのです。
チェリーの価格は、2025年の80ブル/kgから240ブル/kgへと、3倍にまで跳ね上がりました(約1.50米ドル/kg)。一般的なチェリーから生豆への歩留まり比率である7:1を前提とすると、原料コストだけで約10.50米ドル/kgに達する可能性があります。つまり、卓越したカッピングスコアを誇るにもかかわらず、価格競争力が低いという問題が生じるのです。

生産現場
今回の訪問では、丁寧なチェリー選別、コミュニティ単位での計量の様子、アフリカンベッドでの乾燥、そして管理された発酵プロセスまで、生産の一連の工程を確認しました。各精製ステーションは非常に活気に満ちており、エチオピア特有の多様な品種と、手間を惜しまない品質重視の姿勢が随所に見られました。
カッピングでは、どのステーションでも非常に高いスコアが確認され、コストが上昇している中でも、プレミアムという位置づけが十分に裏付けられる品質だということが改めて示されました。

今後への示唆
高騰するチェリー価格はFOB価格に大きな影響を与えますが、トレーサビリティと品質の高さは、プレミアム価格を支える重要な要素となります。エチオピアの経済成長は、今後も価格上昇が続く可能性を示しており、同国のコーヒーが「コスパのいい存在」であり続ける時代は終わりを迎えつつあります。
各ステーションがトップロットの仕上げを優先するため、出荷は3月頃になる見込みです。今回のセレクションは、高いカッピングスコアと明確なストーリーを備えた東アフリカのコーヒーを求めるロースターにとって、非常に魅力的なラインアップとなるでしょう。