自らを問い直す場であり、個性を育み合える場:TYPICA GUIDE 2025を終えて

コーヒーを愛するすべての人々が本当に美味しいコーヒーと出会うためのガイドサービス「TYPICA GUIDE」のファイナルラウンドが、2025年9月28日、関西・大阪万博の会場内・WASSEで開催され、東京のLUSH-COFFEE Roaster and Laboratoryが3-Star Roasterに輝いた。
ファイナルラウンドに進出したのは、TYPICAのコミュニティマネージャーが推薦した1-Star Roaster・195軒の中から選出された2-Star Roaster・9軒。それぞれがコーヒーを淹れながら行った7分間のプレゼンテーションをもとに、来日した生産者4名を含む特別推薦人と一般参加者(来場者とオンライン視聴者)の投票によって3-Starが決定した。

TYPICA GUIDEには1-Star、2-Star、3-Starという区分があるため、格付けのように見られがちだが、TYPICAでは、1-Star:全国各地に点在するおすすめの店、2-Star:国内を旅行する友人に地域単位であえて一つ薦めるならこの店、3-Star:海外の友人に日本全体であえて一つ薦めるならこの店、と定義している。
通常、競技会は味や技術で競い合うものだが、TYPICA GUIDEは志、原体験、情熱、楽しさ、サステナビリティ、成長性、誠実さを基準に推薦される。それが「競い合う場ではなく、個性を育み合える場」と称するゆえんである。
ここからはファイナルラウンドに参加した2-Star Roaster・9名、および特別推薦人7名の声を紹介する。

LOUPE COFFEE STAND 増田涼介
自分を見つめ直す時間に価値がある
今回ファイナルラウンドに参加して思ったのは、もう少し目の前のお客さんに寄り添っていきたいということ。会場に漂う熱気や生産者と話して感じた高揚感を、あの場だけで終わらせず、少しでも店でお客さんに伝えられたら、広島のコーヒー文化も発展させられるんじゃないかと思ったんです。
僕はまだ生産地を訪問したことがないので、生産者について語れるような経験はありません。でもきっと、日本のロースターの大半が僕と同じ立場に置かれている。だからこそ僕が「生産地に行かなくてもできることはある」という文脈の中で語る意味はあるだろうと。

異業種からコーヒー業界に入り、素人からこの仕事を始めた身として、誰かの評価に揺さぶられず、既存のものさしにも惑わされず、自分にできることをコツコツやっていく。そんな姿勢をぶらさないためにも、プレゼンのために自身の成長を振り返り、翌年のビジョンを設定する時間は、星の数以上に価値があります。TYPICA GUIDEは僕にとってむしろ、1年間の総括をTYPICAの人たちに評価していただく場なんです。

Encore! Coffee Roastery 杉山勝幸
自分は間違っていないと確認できた
近年、一般的な競技会は参加すること自体、ハードルが非常に高くなっているのに対して、TYPICA GUIDEは1-Starロースターの全員に平等な機会が与えられるという点で魅力的でした。2-Starに決まった際、わざわざお電話でフィードバックをいただいた誠実さには感動しました。
応募を決めた最大の理由は、自分たちの立ち位置を把握したかったから。開業から10年経ったものの、私も妻もすごく内向的なので横のつながりは無きに等しい。店の規模が小さく、認知度も高くないので、タコツボの中にいるような感覚はあったんです。

私たちは今、コーヒー豆の選別やパッケージングを現在5~6件の福祉作業所に依頼しているのですが、県外の作業所からも仕事をもらえないかと連絡をいただいたりする中で、もっとコーヒーの取扱量を増やして彼らの仕事づくりに貢献したいと思うようになったことも動機のひとつ。
ファイナルラウンドでは、もっと農園のことについて触れた方がいいのかなという迷いも抱きつつプレゼンしたのですが、お客さんを筆頭に「すごく共感した」「感動した」という感想をいただけたのはうれしかったですね。自分は間違っていなかったんだと思えたからです。
あと、TYPICA GUIDEと前後してコーヒーを体系的に学び始めていたのですが、今回の出場を機に、そのモチベーションがさらに高まりました。客観的に評価いただいたことで身が引き締まったというか、知識や理論の裏打ちがないことで店の信用を損なうような事態は避けたいと思ったんです。

HONO roasteria 村井達哉
「正しい」方に寄せにいかなくてもいい
前回、前々回のTYPICA GUIDEも2-Starに応募したんですが、今回はプレゼンの内容をがらっと変えたことがうまくいった要因かなと思っています。前回まではコーヒーの世界を背負っている感覚でストーリーを作り込んでいたのに対し、今回は自分も特別推薦人も一般視聴者も楽しめるように、自分語りに徹したんです。
今回、特に意識したのが(前回3-Starの)橋本さんです。彼の働き方からプレゼン内容、生産者に乾燥棚を寄付する取り組みまで、感銘を受けている身として、同じ土俵に乗ったら絶対に勝てないと感じていたんです。TYPICA GUIDEが競技会っぽくならないように、あえて崩しにいったところもあります。テクニカルレギュレーションがないおかげで、ほどよく力が抜けて、自由な感覚で臨めました。

コーヒー業界を発展させていく方法っていろいろあると思うんですよ。社会正義を語ることもその一つだし、それに適した人もいる。でも僕はそうじゃない。消費者の人たちが自宅で淹れるコーヒーの質が上がっていくことで、生産者から買うコーヒーの量も増えていくし、業界も発展していく。そのためには「面白い」「おいしい」「楽しい」がすごく大切な要素になるのかなと。
なので終わった後、皆さんから「面白かった」という感想をいただけたのが一番の収穫かもしれません。「正しい」とされる方向に寄せていかなくても評価してもらえると実感できたからです。

COFFEEMAN good 橋本雄大・有里
つながりを絶やさないために
雄大「自分が再出場することで他のロースターのチャンスを奪ってしまうのではないか?と思いましたが、TYPICAの藤井さんに声をかけてもらい、TYPICA Labでボリビアを訪問した際によくしていただいた生産者の人たちに恩返しをしたい、という気持ちが芽生えたのが応募を決めた主な動機です。
今回、特別推薦人としてナイラカタのフアンさんが参加されることもあり、チャンスをいただいたからには絶対に3-Starを獲る!という覚悟で臨みました。自分としては精一杯のプレゼンだったのですが、力不足でそれが叶わず、終了後にフアンさん、エリアナさんご夫妻と対面した時は涙が溢れました」

有里「今回、現地でもお会いしたお二人が目の前にいる状況で、直接思いを伝えることができたのは感動的でした。お世話になった人や、好きな人に会って感謝を伝えたり、少しでも恩返しすることは、私にとってとても有意義な時間だからです」
雄大「プレゼン内でも『簡単に糸が切れてしまう』と話しましたが、コーヒーの仕事を続けていると、毎年購入していた生産者のコーヒーが突然手に入らなくなったり、自分の力の及ばないところでつながりが途絶えてしまうことが多々あります。
でもだからこそ、つながりに価値を感じられるんです。生産者にせよ、お客様にせよ、たった1杯のコーヒーの向こうに会いたい人がいること、そして実際に会えることは決して当たり前じゃない。『大切に飲みます』と言ってくれるお客様がいらっしゃるのも特別なこと。TYPICA GUIDEという場は僕にとって、つながりを絶やさないためのひとつの手段なんだと思います」

little flower coffee 本田順也
純粋な自分に戻ることができた
創業以来「スペシャルティコーヒーを知らない人たちの入り口になる店づくり」をしてきた私たちにとって、農園や生産者との関わりはまだまだ遠い世界。「シャッター商店街」と呼ばれるほど活気のない場所にある店でも、全国の名だたる店から選ばれて、大々的にプレゼンする舞台に立つのは胸を張れること。これまで4年間の取り組みが形になってきた実感もあり、今回も2-Starに応募しました。
普段店舗に立っていて感じているのは、2-Starに選ばれるとお客さんの興味が一段階深まるということ。そこから丁寧に説明したうえで、コーヒーを飲んでもらうと、説得力が増す感じがあるんです。

今回のファイナルラウンドでは、他の2-Starロースターとの交流を通じて刺激をもらえたことも大きな収穫でした。そのひとりが橋本さん。前回も含めて、たとえ小規模でも創意工夫や行動力があればここまでできるのか、自分にもできることは他にあるんじゃないか、と目を見開かされた感覚がありました。
自分でも不思議だったのが、他のロースターさんのプレゼンが全部、素直に心の中に入ってきたこと。これまでを振り返って、自分の軸がブレていないかどうか見直す時間を通して、原点に立ち返り、純粋な状態に戻ることができていたからでしょうか。
コーヒーの価格が高騰している今だからこそ、この値段には相応の理由があると少しでも理解してもらえるように、自分ももっと一杯の価値をお客さんに伝えなきゃという思いを強くしているところです。

JUNCTION Coffee Roaster 田崎慶貴
お客さんの選択に変化を生み出したい
今年は昨年出した新店舗に焙煎スペースを併設したり、平均月に一度のペースでアジアのコーヒーのイベントや展示会に出展した経験を通して、新たに伝えられることが増えた、というのが応募の動機です。あとは、プレゼン動画を見て応募してくれたスタッフがいたりと、前回のファイナルラウンドに出た反響が思った以上に大きかったことも理由のひとつ。
本番ではうまく伝えられなかったのが心残りなんですが、コーヒー生産の現状を少しでもリアルに感じてほしかったんです。今は「ロースターが生産地に行く」ことが一種のマーケティングになっていますが、大切なのは産地から何を持ち帰り、何を実践しているのかであって、むしろそれがなければ行く意味がないのかなと。ビジネスの視点で考えたら、産地訪問なんて非効率的ですからね。

そんな中で僕たちが今取り組もうとしているのは、特定の生産者とコーヒー生産の段階から関わること。彼らの喜びや苦しみを少しでも深く知ることで違いが生まれ、生活者の人たちの消費行動に変化を生み出せるようになりたいと思っています。気候変動などにより、コーヒー豆の生産量が減っていくのは目に見えていますからね。
僕の人生で一貫しているのは、「やらない後悔よりもやった後悔」を選ぶこと。アジアへの出展にしてもTYPICA GUIDEへの参加にしても、まずは行動してトライアンドエラーを繰り返す中で成長できるところが大きい。やってみないとわからないことってたくさんあるじゃないですか。

SOW COFFEE ROASTERS 寺崎浩一
ミッション実現へ、覚悟が決まった
以前、TYPICAに在籍していた頃から、TYPICA GUIDEには魅力を感じていました。ロースターがプレゼンを通して、自分たちの思いや哲学を生産者や生活者に発信できる場だからです。
今回2-Starに応募したのは、外食産業の現状への問題意識があったから。レストランなどではコーヒーの優先度が低くなりがちで、安さや量で選ばれるケースが多いんですよね。食材に関しては生産者の顔が見えるものを丁寧に選び抜いているのに、コーヒーはそうじゃない。コーヒーでも食材と同レベルの透明性とクオリティを確保できれば、お客様の感動的な体験や業界の発展につなげられる。TYPICA GUIDEは僕自身のそういう志を伝えるいい機会だと感じたんです。

実際、日本のコーヒー市場においてスペシャルティのシェアは10%程度にとどまっています。そのシェアを高めていくためにはもちろん、生産者や生産地への貢献を考えて行動することも素晴らしいのですが、その価値を理解し、購買行動を変える人を増やす方が優先順位としては高いのかなと。
今回、公の場で自分の思いを発信したことで、改めて「ダイレクトトレードの仕組みを広げ、外食業界のコーヒーを変えていく」というミッションを実現する覚悟が決まった感覚はありますね。

ソイチ豆店 中島篤史
「差がある」ことが希望になった
僕が店を構えている高知の田舎は都会ほどコーヒー文化も育っておらず、マーケットも小さい。自分が遅れている実感があるから、外に出て学ぼう、刺激をもらおうという気持ちで2-Starに応募しました。地方でも結果を残しているロースターも多いので、その秘訣を探りたいという思惑もありましたね。
正直、人前で話すことは得意ではないので、100%前向きな気持ちではなかったけれど、自分がかっこいいと思う人たちがそういう挑戦をしているのを見て刺激されたんだと思います。他のコーヒーイベントに出展したり、他府県のロースターさんと交流する機会もないので、今回はまさに全国初舞台という感じでした。

当日、他の人たちのプレゼンを聞いて実感したのは、「日々、目の前のお客さんを大切にする」という地道で継続的な活動の重要性です。僕はこれまで、バリスタ雇用を増やすべく、ひとつの店をすべてスタッフに任せる形で運営してきたのですが、今ひとつ伸び悩んでいることに問題意識も感じていました。なので、高知に戻ってきてからは、自分が店に立って接客する機会を増やしています。
ファイナルラウンドでは他のロースターさんとの実力差を実感したけれど、落ち込んでいるわけではなく、むしろ地方や田舎でも頑張れば結果を残せるんだ、規模が小さくても光は当たるんだという希望が湧いてきました。
今は正直、店や生き方の方向性を探っているところです。もし次に出場するとしたら、ちゃんと結果を出して自信がついてからかな。もう少し何かを背負って語れるようになりたいですね。

LUSH-COFFEE Roaster and Laboratory 吉田光佑
ビジョンの実現に向けて拍車がかかった
東ティモールの生産者がつくったコーヒーの魅力を消費者に伝える架け橋になる──というビジョンを胸に店を開業して以来、その軸をぶらさずにやってきた中で、同国の認知を広める機会として活用したいと考えて2-Starに応募しました。
高校3年生のときに学校のプログラムの一環で東ティモールに訪れて以来、お世話になった方々や親しくしている人たちの思いを背負っている身として、多くの方の目に触れる万博内のイベントでプレゼンすることは絶好のチャンスだと思ったんです。その背後には、自分が下手なことをすれば、同国に対する印象が悪くなってしまうという責任感もありました。

正直なところ、なぜそこまで東ティモールを背負っているのかは自分でも不思議です。同国のドキュメンタリー映画を観たり、国歌を聞くだけでも涙がこぼれてくるので、もしかしたら前世は東ティモール人だったのかもしれません。
ともあれ、プレゼン後は「東ティモールのコーヒーってあったんだ」という消費者の声や「東ティモールってこんなに美味しかったんだ」というコーヒー関係者の声をいただくなど、まずは同国に対する認識を変えられたことに手応えを感じています。

今回改めて、自分自身の影響力を自覚したので、来年には「平日は会社員、週末は店舗運営」という二足のわらじを脱ぎ、店舗運営一本に集中したいと思っています。僕自身が先頭に立って東ティモールのことをお客さんに伝えていかなければ、という責任を感じたからです。
そして、何より大事なのが東ティモールのコーヒー豆の消費量を増やすこと。単に自分の店を成長させるだけにとどまらず、生産者と一緒に同国のコーヒー産業を振興させていくための動きをとっていきたいですね。
これらはもともと人生のロードマップに描いていたビジョンのひとつではあったんですが、今回のTYPICA GUIDEはその実現を加速させる格好のアクセルになったと感じています。

ビング・チョムプラソップ/世界経済フォーラム日本代表
皆さんのプレゼンで興味深かったことの一つは、気候変動やインフレがコーヒー生産に与える影響について語られていたこと。それらは地球全体の問題であり、直接私たちに関わる問題です。「一杯のコーヒーが100円高くなっても買うだろうか?」という消費者の問いに対して、共感、納得をもって答えを示せるのは、ロースターやバリスタだと思います。
だからこそ、彼らが生産者の代わりにコーヒーに関する物語を語り伝えることは、義務というより使命のようなもの。誰もが生産国に行くことができないぶん、よけいに彼らの担う責任は大きくなる。コーヒー産業は、まさに人によって成り立っている特別さを改めて感じる機会となりました。

宇田 吉範/小川珈琲株式会社 代表取締役社長/CEO
本来、「サステナブル」や「リジェネラティブ」という概念は声高に叫ぶものでもなければ、おためごかしのものでもなく、みんながごく当たり前のこととして生活に取り入れているのが理想のあり方だと思います。
「美味しいコーヒーを提供するのは最低限。コーヒーを通して、日々の小さな幸せの積み重ねを皆さんにお届けすることがロースターとしての役割だ」。社内でもよくそう言うのですが、今回、ファイナルラウンドに参加された皆さんも、心からそう信じて実践されていることが伝わってきてとても感動しました。

渡辺 泰介/『BRUTUS』副編集長
ここ10年くらいのコーヒー業界の変化を見ていると、サプライチェーンのあらゆる段階で技術が進歩し、コーヒーの品質自体が良くなってきていると感じます。 ただ、それを動かしているのは人間であることに変わりはない。懸ける情熱や想いが人を巻き込むことで、シーンは盛り上がっているんだと思います。
飲める種類だけでなく、関わる人たちも、提供される場所や方法もどんどん多様化している。もちろん、楽しみ方にも正解はない。TYPICA GUIDEは、そんな多様性を楽しめるのがコーヒーの魅力なんだと示してくれるイベントだったんじゃないかと思います。

レオン・クリスティアナキス/アカシアヒルズ農園
本当に力強かった。ロースターたちとのつながりを強く感じました。タンザニアのSCAなどでロースターと交流することはありますが、今日の体験はそれとは一味違いました。彼らの夢や歩んできた歴史を通して、感情や情熱がたくさん伝わってきたからです。
コーヒーの味以上に、「志」「原体験」「サステナビリティ」が重要な審査基準とされていたこともまさにTYPICAという感じ。私ももうすぐ60歳。コーヒー業界で若い人たちが活躍しているのを見ると、これで業界の未来は安心だなと感じて本当にうれしいんです。

フィクリ・ハキム/ジャバ・フリンサ農園
生産者としては、皆さんが自分たちの農園のコーヒーや、海外や他の島々のコーヒーを持ち寄り、ここで一緒に楽しむことができて本当にうれしいです。これはコミュニティにとって素晴らしい協働の形だと感じます。
EXPO全体としては親密な雰囲気が印象的でした。「おかげさま」という日本文化をコーヒーと結びつけながら、幸福やビジネスを追求するという考え方にとても共感しましたし、TYPICA GUIDEにもその一端が表れていたと思います。

ビニヤム・アクリル/グジョー・トレーディング
私たちを含めた生産者のコーヒーを、ロースターが情熱を持って目の前で紹介してくれている姿を見て、とてもワクワクしました。「もっと良いコーヒーを作りたい」というモチベーションも湧いてきました。
それぞれの人に違う物語があり、その一つひとつが好きだから順位なんてつけられない。私がコーヒーが大好きな理由が、このイベントには詰まっていました。コーヒーは人々をつなぎ、物語を運んでくれる。たとえ同じ言語を話さなくても、コーヒーを通じてお互いを理解し合えるのは本当に素晴らしいことです。

フアン・ボヤン・グアラチ/ナイラカタ
彼らの動作の一つひとつから、自分たちのやるべきことをよくわかっている、すべてが緻密に考え抜かれている感じが伝わってきて素晴らしかった。特に印象に残ったのが、little flower coffeeの本田さん。プレゼンの内容というより、彼の表現から喜びと自由が伝わってきたからです。
一緒に審査員席にいた妻のエリアナは、ユウダイ(橋本雄大)のプレゼンに感動し、ずっと涙を流していました。「以前、ボリビアで交流を深めた美しい時間のことを思い出させてくれて本当にありがとう」と語っています。

今後に向けて
3度目の開催を迎え、徐々に認知が浸透してきたTYPICA GUIDE。普段ロースターと接しているTYPICAコミュニティマネージャーの大石葉月は「2-Starに応募されるロースターさんの本気度や期待値が高まっている。今後は2-Starへの推薦プロセスや推薦基準も公開し、透明化することを検討している」と語る。

イベントは回数を重ねるごとに洗練されていく一方で、構成や表現、スタイルが固定化され、型にはまっていきかねない。TYPICA GUIDEにおいてそれは、ロースターが自らの個性を表現するよりも、誰かが決めた正解を追い求めることを意味する。TYPICA GUIDEが今後も、「誰もが内に秘めた“唯一無二の輝き”を放てる場」であり続けるためにーー今回、プロジェクトマネージャーを務めた今岡ありすはこう語る。
「TYPICA GUIDEをバリスタの競技会と重ねて見る方もいるので、今後はさらにレギュレーションを緩和し、自由度を高めていきたいですね。たとえば、発表者ではなく別のバリスタがコーヒーを淹れてもいい、というように。“目指すべきプレゼンのフォーマット”ができるのは本意ではないので、ロースターさんが本当にやりたいことを表現できる場づくりを今後も意識していきたいです」