La Reserva Ever Bohorques

Ever Bohorquesエヴァ ボルケス

La Reservaラ・レセルバ

コーヒーのおいしさは、場所で決まるわけじゃない

ボリビアのコーヒー農園La Reserva

ウチュマチ(Uchumachi)山の麓にあるサバヤ地区にて、みかんやオレンジ、トウモロコシとともにコーヒーを栽培しているボルケス。コマーシャルコーヒーの生産者が大半を占める地区内で「手をかければ、いい値段で売れる」と知ったのを機に、スペシャルティコーヒーをつくりはじめて約10年。研究を重ねてきた甲斐あってか、2021年には、ボリビアのコーヒー豆国際品評会(大統領杯)で6位と8位に入賞したボルケスに話を聞いた。

ボリビアのコーヒー農園La Reserva

年齢以上に若く見られることの多い41歳のボルケスだが、コーヒー生産のキャリアは20年以上を数える。幼い頃から、農業を営む父の手伝いをしていたため、「むしろこの仕事しか知らない」という。

そんな彼が今の場所に移ってきたのは2007年。それから3〜4年後、指導に来た技術者から「手をかければ、コマーシャルコーヒーの2〜10倍の値段で売れる」スペシャルティコーヒーについて教わったことを機に、スペシャルティコーヒーを生産するという新たな目標に向かって歩み始めた。

ボリビアのコーヒー農園La Reserva

「去年はコーヒーチェリーを乾燥させるためのドームテントを作りました。雨が降っているときはテントをかぶせることで、コーヒーチェリーが湿気を吸わないようにしています」

スペシャルティコーヒーの産地は、標高1,500m〜2,000mの山の斜面にあることが多い。気温が低い方がコーヒーチェリーはゆっくりと熟すために、糖度や風味が増すからだ。ボルケスがコーヒーを栽培している標高約1,300mのエリアはその条件に合致しないが、工夫によってそのハンデを克服しようとしている。

ボリビアのコーヒー農園La Reserva

「本来、コーヒーは10時間以上かけてゆっくり発酵させるといい味が出るのですが、ここは気温が高いので10時間以内で発酵してしまいます。皆、『標高が高ければ高いほど、よいコーヒーがつくれる』と言いますが、必ずしもそうとは限らない。よいコーヒーをつくるために肝心なのは丁寧に扱うことだと僕は証明したいんです」

発酵スピードを緩めるために、ボルケスが編み出したのがダブルタンク方式だ。コーヒーチェリーを水に漬けた小さなタンクを、水を張った大きなタンクに漬けておくことで、できる限り温度を低く保っているという。

ボリビアのコーヒー農園La Reserva

「手間はかかるけれど、よいコーヒーをつくるためには時間もかけなきゃいけない。他にも、新しい風味を生み出せるように、品種と精製方法のバリエーションを変えたりしています」

人々に選ばれるコーヒーをつくりたい。人々の生活に行き渡るコーヒーをつくりたい。そんな思いを抱きながら試行錯誤を続けるボルケスなら、外部環境のハンデを乗り越えておいしいコーヒーをつくってくれるにちがいない。

文:中道 達也

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