ホンジュラス / Honduras
ホンジュラスはグアテマラ、エルサルバドル、ニカラグアに接する、中米のほぼ中心に位置する国である。首都はテグシガルパ。古くはマヤ文明が繁栄した中心地であり、グアテマラ国境付近にあるコパンのマヤ遺跡は世界遺産に登録されている。
長くスペインの統治下にあったが1821年に独立。1530年代に先住民反乱を起こしたレンカ族のリーダー、レンピラは英雄として通貨の名前にもなっている。
ホンジュラスの産業
ホンジュラスは中米の中でもアメリカとの結びつきが強い国であり、対米の輸出がGDPの30%、送金が20%を占める。主な産業は農業で、1900年代初頭はバナナ産業が勃興し、その権益は主にアメリカが有していた。ホンジュラスは特にユナイテッド・フルーツ社などの経済的、政治的支配が強く「バナナ共和国(リパブリック)」と呼ばれた歴史を持つ。
コーヒー生産は1800年代に開始され、アメリカの支援によって生産量は増大した。あまり知られていないが、ホンジュラスは世界第七位(2021年)の生産量を誇り、中米で最も大きな生産国である。1998年のハリケーン・ミッチ、1999年のコーヒー危機(国際価格の大暴落)、2012年頃に起こったさび病の蔓延など、様々な障壁を乗り越えてその生産量を保ち続けているが、それにはIHCAFEが大きな役割を果たしている。
IHCAFEのコーヒー革命
IHCAFE(ホンジュラスコーヒー研究所)は1970年に政府によって設立された。品質向上やインフラの整備を通して、ホンジュラスのコーヒー生産の発展を担う組織である。2000年に民営化され、2004年にはIHCAFEを中心にホンジュラス初のカップオブエクセレンスが開催された。品種の開発も積極的に行っており、パライネマやIHCAFE90などがよく知られる。
IHCAFEの生産者に対するトレーニングや低金利ローンなどのサービスは若者の農業へのモチベーションを高め、ホンジュラスのコーヒー生産者の平均年齢は下がり続けている。これは、世界中のコーヒー生産国の中でも稀に見る状況と言える。
ホンジュラスの未来
ホンジュラスはコーヒー生産国の希望を見せてくれている。コマーシャルコーヒー中心の生産国も、スペシャルティコーヒーの生産を発展させ、再び農業に若者を巻き込み、サステナビリティを高め、コーヒーの価値を高めることができるのだ。