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2025.01.16

Ethiopia Harvest Update 2024/25

TYPICAのチームはできるだけ早く収穫状況を自分たちの目で確認するため、12月初旬にエチオピアを訪れました。訪れたウォッシングステーションは1日につき平均3ヵ所。その運営会社の中には、すでに取引があるパートナーもいれば、今後新たな関係を築きうるパートナーもいます。

エチオピアはコーヒーの生産国の中で、訪問することがもっとも過酷な場所のひとつとして知られています。特にグジ地域ではそれが顕著で、凸凹の道にあまりにも遠いウォッシングステーション間の道のり。しかしそれを耐えた末に目にする美しくて肥沃な土地や素晴らしい人々は、労力を費やした価値を十分に感じさせてくれます。

今回、私たちは彼らのもとを訪れるパートナーの中で最も早く現地に行くことにしました。そうすれば今期のオファーを早く調整できるうえに、物流上の課題にも前もって対応できるからです。

以下が、私たちの調査結果です。

生産状況

昨年より収穫量が多い今年は、エチオピアのコーヒー生産サイクルにおける“当たり年”です。天候がよかったこと、とりわけ雨季にもそれ以外の時期にも雨量が豊富だったことが主な理由です。

グジ地域では、8月から1月にかけて半年間、安定的に雨が降り続きました。この雨のおかげでコーヒーチェリーの生育や収穫にいい影響がもたらされるでしょう。

品質

不十分な降雨が量と質の低下を招いた昨年とは対照的に、今年のコーヒーの品質は大幅に向上することが予想されます。というのも、ミューシレージの生育が促されたからです。過去数年はミューシレージの量が減ったため、精製中のフレーバー形成に大きく影響しました。

経済的な課題

生産面ではよい結果を得られたエチオピアのコーヒー産業ですが、経済面では深刻な課題に直面しています。

1. 現金の不足:深刻な現金の不足が、サプライヤーにとって喫緊の課題です。

2. 政府の金融政策:インフレを抑制し、自国通貨の価値を強めるため、エチオピア政府は現金の流通を減らす施策を推進しています。これが、現金頼みになっている農家への支払いを困難にしているのです。

3. 外貨不足:国際貿易には不可欠な外貨が不足していることが、私たちのパートナーである輸出業者にとっては深刻な問題です。

農業慣行と課題

今年はコーヒーの開花状況がとても良好で、2〜3ヶ月ごとに3回開花しました。これは収穫量が増える可能性を示唆していますが、農業慣行においては課題が残っています。

たとえば、コーヒーノキの健康を長期的に守り、生産性を保つために剪定は重要ですが、エチオピアの農家の間ではあまり普及していません。農家の多くは、短期的な収入が減ることを嫌うために、一時的に収量が減る剪定をやりたがらない傾向があります。

コミュニティとの関わりと伝統

心温まるエピソードがあります。グジョー・トレーディングのようなパートナーは、コミュニティの年長者と連携し、社会的なプロジェクトを創出しています。彼らは地域が抱える課題のうち何から解決すべきなのか、強い発言権を持っているからです。食事や集会の場で議論を交わす彼らの伝統が、輸出会社と地域コミュニティの結束を強めるのです。

結論として、エチオピアのコーヒー業界はさまざまな課題に直面していますが、天候に恵まれたおかげで、これから迎える収穫は量と質の両面で期待できるでしょう。TYPICAでは、収穫の初期段階から関わり、パートナーと密に連携し、物流の課題に対処していくことを約束します。その課題をともに乗り越えていくためにも、ロースターの皆様におかれましては計画的に注文していただくようお願いいたします。

舞台裏:コーヒー以外のお気に入り

・インジェラ(伝統的なパンケーキのようなパン)は少し酸っぱかった。エチオピアを訪れたらよく食べるであろうインジェラは、煮込み料理との相性が完璧である。

・タイトルに反してコーヒーと関わりがあるが、言っておかねばらないことがある。エチオピアでのコーヒー体験は最高だ。コーヒーそのものは素敵だし、伝統的なコーヒーセレモニーも素晴らしい。

・景色も素晴らしい。これまで見てきた中でももっとも肥沃な土地だ。多くの種類の木々や作物が自然の中で育っている。