TYPICA Labを開催しました
世界各地で活躍するロースターがコーヒー生産者のもとを訪ねる「TYPICA Lab」がスタートしました。9月の第一弾では日本のロースターがボリビアに、10〜11月の第二弾では日本、欧州、韓国、台湾のロースターがケニアとタンザニアに滞在し、つながりを深めました。
生産者の努力と技術、知恵が結集されたコーヒー生豆。その個性を焙煎によって最大限引き出し、飲み手に届けるロースター。「生産者の顔が見える」以上の環境下で、参加者たちはカッピングや対話を通じて知識を共有し、一杯のコーヒーへ思いを新たにしました。それはまた、コーヒー業界で生きる自分自身と向き合う日々でもありました。
首都ラパスでの最終日、カッピングセッションに並んだコーヒーは実に55種類。各地から訪れた生産者が見守る中、ロースターは素晴らしいカップを見落とさぬよう丁寧にフィードバックしていきました。全てが終わるころには5時間が経っていました。
「コーヒーのクオリティを生産者に直接フィードバックすることがこんなに有意義であり、心通わせる瞬間だということを僕はこの旅で初めて知った。生産者さんにはもちろん、生産者さんの育てたコーヒーたちにも毎年会いたくなる」。Blue Beans Roasteryの坂下さんは日記でこう振り返っています。
一行は古くからアイマラ族が生活する地域の農園も訪ねました。3代目生産者であるSempiternoのナシアさんはアイマラの文化を知ってほしいとの思いから、郷土料理と音楽によるサプライズを企画。トウモロコシから作るアンデス伝統の酒「チチャ」も紹介し、大地に感謝を示すため、土に少しかけてから飲むのだと伝えていました。
NAGASAWA COFFEEの長澤さんは「常に大地に感謝するという伝統的な姿勢が、森と共存するコーヒー栽培という形で反映されていて、コーヒーのクオリティ以上に取り組む姿勢に魅力を感じた」と綴りました。
ケニアでは始まったばかりの収穫に立ち会う機会にも恵まれました。忙しい時期にもかかわらず生産者たちが手を止め、ロースターたちに温かく応対する姿がありました。ケニアのコーヒーを取り巻くシステムに異を唱え、ダイレクトトレードを広めようと尽力するピーターさんへの信頼があってこその光景でしょう。
滞在中は、終わらないコーヒートークが毎晩のように続き、ロースターの間にも刺激が生まれました。The Coffee Marketの古家さんは「若きロースター達のお陰でとてもエキサイティングな10日間を過ごすことができた。長いコーヒー人生ですり減っていたコーヒーに対する熱い想いを新たにチャージするには最高な体験だった」と回想しました。
TYPICA Labは帰国して終わり、ではありません。ロースターがこの体験を経てコーヒーに対する思いや自分自身をどのようにとらえ直したか。学びや思索を深める中で変化はあったのか。そうした姿に密着したドキュメンタリー映像が12月中に公開される予定です。また、TYPICAのホームページでは彼ら一人ひとりの思いを掘り下げる新たなコンテンツをお届けします。
特設サイトでは滞在中に書かれた「ロースター日記」やInstagramに投稿された写真が一覧できます。私たちの旅は第三弾のエチオピア(2023年1月)、第四弾のエルサルバドル・グアテマラ(2023年3月)へと続いていきます。